この記事は2018年1月に作成されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている場合があります。- 1月3日(水)24:00〜オンエアの内容に基づいた記事です。
- 1月10日(水)24:00〜再放送
- 1月17日(水)24:00〜再放送
- 1月24日(水)24:00〜再放送
昨年からこのブログを読んでいただいている方も、今日はじめましての方も(大変遅ればせながら)あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今年初のテーマは「臓器提供・臓器移植」です。
聞いたことはあるけど詳しくは知らない。
臓器提供なんてしたくない。
自分とは関係無いことだから興味ない。
という方もいらっしゃるかもしれませんので、詳しい方に色々と伺いました。
今月のゲスト・マイノリティさんは、
公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク(JOT)あっせん事業部 コーディネーショングループ 大阪オフィス チーフ移植コーディネーターの小野由美子さんです。
目次
臓器移植とは?
- 日本で臓器の提供を待っている方・・・約13,000人
- それに対して移植を受けられる方・・・年間約300人
臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に、他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療です。
第三者の善意による臓器の提供がなければ成り立ちません。
日本で臓器の提供を待っている方は、およそ13,000人です。それに対して移植を受けられる方は、年間およそ300人です。臓器移植とは?(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/transplant/about.html
臓器提供の意思表示カードを持ってるよ〜という人も大勢いらっしゃるかと思いますが、ほとんどの場合は、「時々ニュースで臓器移植のことを見かけるけど、実際のところはよく分からない」という人が多いのではないでしょうか?
自分自身や身近に当事者がいない限り、なかなか話題に出なかったりして、自分とは遠い世界の話に思えるかもしれません。
日本国内で、亡くなった後に臓器を提供したい、あるいは臓器を提供してもらいたいという場合には、日本臓器移植ネットワークという組織を通して実施されます。
日本臓器移植ネットワークとは?
公益社団法人 日本臓器移植ネットワークは、死後に臓器を提供したいという人(ドナー)やその家族の意思を活かし、臓器の移植を希望する人(レシピエント)に最善の方法で臓器が贈られるように橋渡しをする日本で唯一の組織です。
日本臓器移植ネットワークとは?(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/jotnw/credo.html
- 2017年12月末現在の状況
- 移植希望登録者数・・・13,823人
- 脳死下で提供された方・・・77人
- 心臓停止後に提供された方・・・35人
- 移植を受けた方・・・380人
2010年に施行された改正臓器移植法により、亡くなった本人の意思が不明な場合でも家族の承諾があれば臓器提供できるようになりました。
そのため、移植手術を受けられた人数は10年前に比べ飛躍的に増えました。
臓器提供意思登録者数(インターネット)・・・140,019人(2017年12月末現在)
※「提供しない」を含む
臓器提供・移植手術は年間おおよそ100例ほどあるそうです。
都道府県によっては1年に一度あるかないかという場合もあり、実施数の多い病院でも年間3例程度なんだとか。
持病があっても臓器は提供できるの?
健康な人しか臓器提供できない、あるいは健康でないと臓器提供するべきではないと思い込んでいる人は多いかもしれませんが、基本的にはどなたでも臓器提供は可能なんです。
輸血をしたことがある人、お薬を飲んでいる人、持病があり通院中、何らかの障害をかかえている人、軽度なものでも何らかの既往歴がある人は意外と多いもの(私も含めて)。
ですが、下記の項目に該当しなければ基本的に臓器提供は可能とのことです。
- 臓器提供できないケース
- 癌(がん)で亡くなった場合
- 全身性の感染症でなくなった場合 など
他にも詳細な規定はありますが、実際に亡くなった人の家族から臓器提供の申し出があった時点で既往歴を確認したり、血液検査などいろいろな検査をして最終的に本人の臓器が提供できるかどうか専門の医師によって判断されます。
ですので、意思表示カードには病気を持っている臓器に「×印」をつける必要もありません。
また、自分では健康だと思っていた、あるいは既往歴がなかった人でも、亡くなってからいざ検査をしてみると提供できない状態だったり、医学的見解から提供不可となる場合があるそうです。
意思表示カードには臓器提供する・しないにかかわらず現在のご自身の意思を優先して記入してくださいね。
移植を受けたことがある人や生体移植で臓器提供したことがある人の場合は?
こちらも同じく、基本的に臓器提供は可能です。
臓器提供に年齢制限はあるの?
臓器を提供する年齢の、おおよその基準は設けられています。
- 臓器提供適応基準(おおよその範囲)
- 心臓・・・50歳以下
- 肺・・・70歳以下
- 腎臓・・・70歳以下
- 膵臓・・・60歳以下
- 小腸・・・60歳以下
が望ましいとされています。
ただし、この年齢を越えた方でも医学的に提供が可能である場合もあります。
実際に60歳代の方から心臓を提供いただいた事例もあるそうですよ。
臓器提供の意思表示に年齢制限はあるの?
臓器提供する・しないにかかわらず、意思表示をすることに関して年齢の上限はありません。
高齢の方も意思表示カードに記入いただけます。
- 臓器を提供したい場合
意思表示は15歳以上の場合に有効です。
子どもの健康保険証にも意思表示欄がありますが、15歳未満の子供の場合、「提供する」意思については法的に無効となります。
臓器提供したい場合は15歳になってから自分で意思表示(自署)しましょう
実際の提供は、本人の拒否の意思が無ければ、15歳未満でも家族の承諾があれば提供が可能です。
ややこしいですか?
15歳未満の人は、もし「提供したくない」場合は拒否の意思表示をしておけば絶対に臓器提供されません。
意思表示をしていなかった場合は家族が判断することになります。
- 臓器を提供したくない場合
意思表示については年齢の制限はありません。
現在の年齢に関係なく、ご自身がどうしたいか。
現在の意思を記入してくださいね。
臓器提供にかかる費用は?
臓器提供者(ドナー)側には、臓器提供にかかる費用の負担は一切ありません。
また、臓器提供したことにより葬儀の費用や謝礼金が支払われることもありません。
あくまで「善意による提供」です。
臓器提供した場合は、後日、厚生労働大臣から感謝状が贈られるそうですよ。
臓器提供後の遺体はどうなるの?
縦に長い手術縫合の傷跡は残りますが、それ以外は大きな変化はないようです。
終わりしだい家族のもとに返してもらえますので、通常通りお通夜・お葬式が執り行えるとのことで安心しました。
また、眼球を提供された場合は義眼を入れてもらえるとのことです。
喉元からへその下まで摘出手術の傷が残りますが通常の手術傷と同様に、お身体は礼意をもって丁寧に扱われ、傷口は縫合して、清潔なガーゼでおおわれます。
臓器以外に骨や筋肉などの組織は残されているため、おなかがへこむなど、見た目に大きな変化はありません。
また、詰め物などを入れることもありません。お身体を清めた後すぐにご家族の元に戻り一緒に退院していただけます。自宅葬であれば、通夜や葬儀はその日のうちに執り行うことも可能です。提供について(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/qa/index.html#about_offer
臓器提供に関する意思表示について
2010年に施行された改正臓器移植法により、本人の意思が不明な場合でも、家族の承諾があれば臓器提供できるようになりました。
残された家族にとっては、提供するべきかしないべきか大変悩む問題です。
もしもの時に家族が判断に迷わないためにも、臓器提供についての意思を表示しておきましょう。
また、意思表示カードにご自身の意思を記入した事実や、その気持ちをご家族にも伝えておかないと、家族がすぐに決断できずに困ってしまう場合があります。
なかなか話し合う機会のない話題ではありますが、ご自身の気持ちが尊重されるためにも事前に家族に伝えておきましょう。
家族・身内がいない場合は、基本的には本人の意思表示があればその意思が尊重されます。
意思表示カードは、何も記入ぜずにただ持っているだけでは意味がありません。
また、せっかく記入しても携帯していなければ、せっかくの意思が伝わりません。
自署した意思表示カード・運転免許証等を、財布やスマートフォンケース等に入れて持ち歩くように心がけましょうね。
臓器提供するための事前手続きや検査は必要?
事前の手続きや検査は不要です。
どうやって臓器提供する・しないの意思表示をするの?
現在、おおまかに下記の方法があります。
- インターネットで意思登録サイトに登録する方法
- 健康保険証運転、免許証、マイナンバーカードの意思表示欄に記入する方法
- 意思表示カードに記入する方法
登録カードなど複数のカードがあった場合、最も日付の新しいものが有効です
意思表示の内容を訂正した場合は、「記入した日付」を最新の日付に修正するのを、お忘れなく!
インターネットで意思登録サイトに登録する方法
本人の「拒否の意思」を守るために始まったシステムです。
日本臓器移植ネットワーク(JOT)の公式サイトより、インターネットで気軽に手軽に意思登録が可能です。
臓器提供時に、本人意思をより確実に確認することができます。
もちろん「提供しない」意思も登録いただけます。
インターネットで意思登録すると後日、ID番号入りの新しい内容の意思表示カードが送付されますよ。
届いたら、自署して財布等に入れて持ち歩くようにしましょうね。
2007年よりインターネットによる「臓器提供意思登録」がスタート
国内での死後の臓器提供に関する意思が登録できます。
平成22年7月17日より15歳未満の方でも臓器を「提供しない」意思を登録することができるようになりました。
15歳未満の方で「提供しない」意思を登録したい方は、保護者の方と一緒に同意画面などをご確認の上、登録をしてください。臓器提供意思登録サイト(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www2.jotnw.or.jp/
※現在は、電話やFAXでの申込による登録はできません。
健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードの意思表示欄
既に記入したものを変更したい場合や書き間違えた場合に、簡単に再発行できないから身分証には書きたくない!という人も多そうです。
実は一度記入したものでも、上から二重線などで消して新たな内容に書き直しOKなんです!
健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードの意思表示欄に限らず、意思表示カードも同様に書き直しOKです。
記入方法については、選挙の投票用紙のような厳しい規定はありません。
見た人にきちんと伝わるように記入すれば、書面による意思表示として有効です。
でも、健康保険証や運転免許証は身分証として他人に見せる機会が多いもの。
意思表示の内容は、あまり人には見られたくないですよね?
最近は目隠しラベルが市販されていますので、利用してみるとよさそうです。
代筆対応点字付臓器提供意思表示カード
様々な事情から自筆署名をすることが難しい人のためのカードも用意されています。
詳しくは日本臓器移植ネットワークへお問い合わせください。
古い意思表示カードはまだ使えるの?
旧法の意思表示カードをお持ちの人のほうが多いかもしれません。
私も持っています。。
私の私物(旧意思表示カードと旧グリーンリボンピンバッジ)
手前の意思表示カードはFM802さん仕様です。
2010年に改正臓器移植法が全面施行され、意思表示カードの内容も変わりました。
今お持ちの古い意思表示カードはもちろん有効ですが、なるべく現行法の意思表示カードに書き直したほうがいいそうですよ。
インターネットで意思登録すると、最新の意思表示カードが送付されます。
また、都道府県市区町村役場窓口、一部の病院やスーパーなどにも設置されています。
意思表示をしていなかったらどうなるの?
「意思表示カード等を所持していない」、「生前に臓器提供や拒否の意思を聞いたことがない」等により本人の意思が不明な場合は、家族が承諾することで臓器提供が可能となります。
ただし、必ず提供されるわけではありません。
移植コーディネーターから詳細な説明を受けた後に、家族の総意として臓器提供するかしないかを返答します。
このとき、家族のうち1人でも反対の人がいれば臓器提供はできません。
また、意思表示していなかった人が18歳未満の場合は、「虐待されていたかどうか」も重要となります。
もしも虐待されていた事実があれば、臓器は提供されません。
家族に臓器提供したい場合は?
2010年より、臓器を提供する意思表示に併せて、親族に対して臓器を「優先的に提供する意思表示」が可能となりました。
配偶者や子ども・父母が移植希望登録をしており、医学的な条件を満たしている場合に行われます。
厳しい条件についてよく理解した上で記入しましょう。
インターネットで意思登録するか健康保険証などの意思表示欄や意思表示カードに、臓器を提供する意思(1か2に○)に併せて書面により表示しておくことが必要です。
- 意思表示カードの特記欄に「親族優先」と記入します。
- 兄弟姉妹は親族優先提供の対象外です。
- 親族への優先提供が行われるには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
- 本人が、臓器を提供するという書面での意思表示ができる15歳以上の方であること。
- 本人が、臓器を提供するという意思表示に併せて親族への優先提供の意思を書面により表示。
- 臓器提供の際、親族(配偶者*1、子ども*2、 父母*2)が移植希望登録をしていること。
- 医学的な条件(適合条件)を満たしていること。
*1婚姻届を提出している方です。事実婚の方は含みません。
*2実の親子のほか、特別養子縁組による養子及び養父母を含みます。
- 親族優先提供についての留意事項
- 医学的な条件などにより対象となる親族がいない場合は、親族以外の方への移植が行われます。
- 優先提供する親族の方を指定(名前を記載)した場合は、その方を含めた親族全体への優先提供意思として取り扱います。
- 「○○さんだけにしか提供したくない」という提供先を限定する意思表示があった場合には、親族の方も含め、臓器提供が行われません。
- 親族優先提供を目的とした自殺を防ぐため、自殺した方からの親族への優先提供は行われません。
臓器提供の意思表示をすれば必ず提供できるの?
必ず提供されるわけではありません。
移植コーディネーターから詳細な説明を受けた後に、家族の総意として臓器提供するかしないかを返答します。
このとき、家族のうち1人でも反対の人がいれば臓器提供はできません。
亡くなった本人が臓器提供したいと強く希望して意思表示していたとしても、拒否する残された家族の気持ちも分かります。
ここで重要なことは、生前に「臓器提供したい」意思を家族に伝えておくこと・よく話し合うことです。
絶対に臓器を提供したくない場合は?
臓器を提供しない意思は、口頭でも有効です。
その気持ちが確実に尊重されるためにも、意思表示欄などで意思表示をしておく、または日本臓器移植ネットワークの公式ホームページから意思登録をしておきましょう。
意思登録しておけば、家族から臓器提供の申し出があっても本人の意思を確認し、提供しない意思が登録されていれば絶対に提供されることはありません。
「3.臓器を提供しません」という項目に○がついている場合、家族からの提供の申し出があっても、法的にその方からは臓器の摘出をすることができません。
臓器移植について
臓器移植を受けるには?
生体腎移植や生体肝移植などの生体移植は各病院で行われていますが、日本臓器移植ネットワークは関与していません。
亡くなられた方(脳死を含む)からの臓器移植は、日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。
移植の候補者が選ばれる基準は?
臓器によって異なりますが、一定の決められた基準により点数化し、コンピュータで選ばれます。
臓器ごとに医学的要件で移植希望者の順位が決定。
適合条件(腎臓の場合は前提条件)で血液型、サイズ、抗体反応、虚血許容時間(*)などが定められており、その中で、親族、医学的緊急度や血液型による具体的選択方法、術式、年齢、施設の所在地、待機時間などの優先順位が決められています。
また、全臓器においてドナーが親族優先提供の意思表示をしている場合には、医学的な適合条件等を満たせば親族に優先的に提供されます。
臓器移植ネットワークのコンピューターにドナーの医学的データを入力すると、臓器ごとに優先順位の高い候補者が選ばれます。
それぞれ、第一候補者から順に主治医に連絡して、移植可能な状況かどうか、移植を受ける意思があるかどうかの確認を行います。レシピエント選択基準(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/studying/5-2.html
各臓器は血流が無い状況で搬送されるため、臓器毎に虚血許容時間の目安が設けられています。
例えば心臓の場合、虚血許容時間=4時間/搬送許容時間=2~3時間ですので、迅速な確認と措置が必要です。
そのため、臓器移植の候補者と連絡が取れない場合は次の候補者に提供される場合があります。
移植希望登録をした人は、引っ越した時などは連絡先の変更も忘れずに行いましょう。
自分の順番が何番目かわかるの?
登録時には何番目かはわかりません。
提供者(ドナー)の血液型、体格、組織適合性などにより、一定の決められた基準により選ばれますので、その時々によって順位は異なります。
あるときは5番目であっても、次のときは10番目になることもあり得ます。移植について(公社)日本臓器移植ネットワーク
https://www.jotnw.or.jp/qa/index.html#about_transplant
移植コーディネーターとは?
チーフ移植コーディネーターの小野さんに、移植コーディネーターの仕事内容、なり方などを伺いました。
私の主な業務は臓器提供時の現地対応です。
病院から「提供についてお話を聞きたいご家族がいます」と電話を貰ってから、病院に行って、ご家族面談、承諾書作成、院内外調整、摘出手術、お見送りまでの一連の流れにかかわっています。
脳死下臓器提供であれば、3、4日ぐらいでしょうか。
心停止後臓器提供であれば、1日で完了することもあれば、1か月ぐらいかかわることもあります。
長期になるときは、途中、代わりのコーディネーターが来て休めることもあります。(小野さん)
病院の臓器提供に関する体制整備(勉強会やシミュレーションなど)、臓器提供後の経過報告など。
死後の臓器提供に関連する整備の一環で、各都道府県と打ち合わせたり、警察等にもご協力いただくことが多いので、訪問したり、警察学校の講義に行ったりすることもあります。(小野さん)
病院から連絡があるとすぐに家族の元へ直行する場合もあれば、翌日の何時にという具合に家族の希望にあわせて訪問するそうです。
移植コーディネーターの話を聞くかどうかは、家族の判断に委ねられます。
呼ばれた時点で既に提供の意思が固まっている家族やぎりぎりまで考える家族、さまざまです。
もちろん、最終的に提供しないと判断しても、不利益な扱いを受けることはありません。
「せっかく来てもらったから・・・」と気を遣わせてしまってはダメです。
移植コーディネーターは人気のある職種ですが、仕事は24時間体制のため不規則でハードです。
そのため人手不足の傾向にあります。
1人の提供者(ドナー)につき、移植コーディネーターは委託のコーディネーターを含め、
- おおよそ
- 説明をするのに2〜3名
- 現地だけで5名(うち手術に2名)
というような体制だそうです。
また、移植コーディネーターは各都道府県に最低1名は必要となっています。
- 他の機関との連携や協力
提供される臓器を輸送するルートはマニュアル化されています。
移植にかかわる様々な人々や物事が連携して、限られた時間の中で迅速に同時進行します。
コーディネーターが、移植手術を実施する病院へ摘出した臓器を運ぶ際に飛行機を利用すると、空港から病院までパトカーが先導で緊急走行してくださるそうです。
また、警察官は事故現場等で身元確認をする際に、意思表示カードを所持しているかどうかも確認します。
既に亡くなっている状態では臓器提供自体は出来ませんが、眼球(角膜)提供は死亡後でも可能ということでした。
ただし、眼球は日本臓器移植ネットワークではあっせんしませんので、日本臓器移植ネットワークからアイバンク協会へ連携していただけるそうです。
このように警察から日々協力していただけるように、移植コーディネーターは通常業務だけではなく、警察学校で講師として臓器提供についての講義も担当します。
また、検死の際にも臓器提供についての知識が必要となるそうで、検死センターでも講義を行います。
- 臓器提供者(ドナー)家族への支援
移植コーディネーターはドナー家族に対し、希望に応じて支援をします。
おおむね最初の1年は家族と連絡をとり、レシピエント(移植を受けた人)の経過報告や近況を伺います。
また、レシピエントからの手紙や厚生労働大臣からの感謝状を届けます。
- 移植コーディネーターになった経緯
たまたまテレビを観ていた時に移植コーディネーターを紹介していました。
これだ!と直感。
その頃は看護師の仕事でも先のことを色々と悩んでいました。
この3日後に日本臓器移植ネットワークのホームページをチェックしたところ、偶然にも移植コーディネーターを募集していたそうです。
小野さんは日本臓器移植ネットワークに応募、3ヶ月後には無事に内定をいただきました。
組織変更や転勤を経て、現在のJOT大阪オフィスで日々多忙な業務に追われています。
- 2011年2月 社団法人 日本臓器移植ネットワーク 就職(西日本支部配属)
- 2013年4月 公益社団法人 日本臓器移植ネットワークへ移行(東日本支部へ異動)
- 2015年4月 西日本支部へ異動(現大阪オフィス)
移植コーディネーターになるには?
移植コーディネーターの募集は、不定期で実施されています。
日本臓器移植ネットワークのホームぺージでも随時お知らせしています。
各都道府県によっては、非常勤(委託)の移植コーディネーターも不定期で募集されています。
移植コーディネーターになるには資格が必要?年齢制限は?
もともと医療関係の仕事に就いていた人が転職してこられることが比較的多いそうですが、資格や経験は必須ではないそうです。
小野さんは元看護師ですが、元医師の移植コーディネーターもいらっしゃれば、社会福祉系大学から新卒で移植コーディネーターになった人もいるそうで、間口は意外と広いです。
募集の際は特に年齢制限は設けていないとのことですが、かなりハードな仕事なので体力に自信のない人は大変かもしれませんね。
病気や障害、ハンディキャップがあっても移植コーディネーターになれる?
前述の通りハードな仕事なので、コーディネーターとして勤務することは難しいかもしれません。
24時間体制の勤務で休日は不定期。
転勤・出張もあります。
ちなみに日本臓器移植ネットワークの事務系職種は障害者採用枠などもあるそうですよ。
実際に、家庭と育児を両立している移植コーディネーターもいますよ。
グリーンリボンは移植医療普及のためのシンボル。他の色はどんな意味が?
グリーンリボン以外にもリボン運動は他にもいろいろあります。
中には複数のテーマがこめられたものもあります。
- グリーンリボン(移植医療普及)
- ピンクリボン(乳ガンの啓蒙活動)
- レッドリボン(エイズの啓発活動)
- オレンジリボン(子どもの虐待防止)
- ブルーリボン(大腸ガンの啓発活動)
- イエローリボン(障害を持つ人の自立と社会参加)
- ホワイトリボン(開発途上国における妊産婦の保護、男性からの暴力(DV)反対活動など)
レッドリボンキャンペーンに関しては、うろ覚えですが昔々「世界エイズデー」のポスターをデザインしたことがあったので(コンペかボランティアか失念)レッドリボン運動は特に印象深いです。
かなり若手のペーペーの頃です。。
DV反対活動のホワイトリボンは、男性自身が白いリボンを胸につけることで暴力反対を訴えるそうですよ。
啓発活動や支援の意志を示すために身に付けるリボンを「アウェアネスリボン(Awareness ribbon)」と呼びます。直訳すると「気づきのリボン」「認識のリボン」といったところでしょうか。
リボンを輪にして折り、ピンで留めるのが基本スタイル。訴える課題によってリボンの色が変わり、それぞれにメッセージがあります。
そしてこれらのリボンを身につけたり、ブログやSNSで発信することを、「リボン運動」と呼びます。ピンクのほかにも、エイズの啓発ならレッドリボン。子どもの虐待防止はオレンジリボンなど、リボン運動は多様な広がりを見せています。10/1はピンクリボンデー、意味や他のリボンも紹介(All About)
https://allabout.co.jp/gm/gc/51038/
グリーンリボンピンバッジについて
現在は、グリーンリボンキャンペーンサイトでグリーンリボン検定を受け、臓器移植に関する正しい知識を習得すれば、希望者に無料で送付されるそうですよ。
他にも、臓器移植・臓器提供に関するいろいろなキャンペーン情報が掲載されています。
私はかなり昔(10年前?)に参加したイベントでいただいたので初期のシンプルなもの(ベタ緑)ですが、比べてみると現在のグリーンリボンピンバッジはラメ入りでキラキラです。
さらに最新のものはラインストーン付き!!
可愛いですね~。
皆さんに興味をもってもらえるように、あの手この手でデザインを改良されています。
パンフレットも絵本みたいで本当に可愛いんですよ。
移植医療は暗くて怖いものではなく、植物がすくすくと育っていくような明るい未来のイメージですよ。
公式の意思表示カードは、最近は主に教育用のための作成に限られているようです。
今までにかなりの数を作って配布してきましたので、ほぼ全員に行き渡ったと判断したとのこと。
こういったグッズや意思表示カードなどを作成するにも相当な費用も発生しますので、仕方がないことです。
どうしても公式の意思表示カードを入手したい人は、インターネットで意思表示登録サイトをご利用くださいね。
後日、意思表示カードが送付されますよ。
- 臓器提供意思登録サイト
https://www2.jotnw.or.jp/ - グリーンリボンキャンペーンサイト
http://www.green-ribbon.jp/ - 公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク(JOT)
https://www.jotnw.or.jp/
あとがき
ここ数年、ニュース等で臓器移植についての情報を知る機会が増えましたね。
とはいっても、家族が亡くなった際に「臓器提供の機会があります」と告げられた時に、冷静に最善の決断を下せる遺族はどれくらいいるでしょうか?
ほとんどの場合は、
「分からない」
「どうしたらいいの?」
「亡くなった家族は一体どうしたいのか?」
「提供の意思も拒否の意思も、本人から聞いたことがない」
「臓器提供はするべきなのか?」
など、様々な葛藤が生じるかと思います。
そういった遺族の支えになってくださるのが「移植コーディネーター」という方々です。
移植コーディネーターさんは、残された家族からの疑問、質問、悩みなどの相談にのってくださったり、窓口になったり、もろもろの手配をしてくださいます。
「臓器移植についての情報提供」をしてくださるのが仕事です。
臓器提供のお願いや説得、強要をされることはありません。
その情報を聞いて、提供するか断るかを判断するのは家族です。
断ったからといって不利益などはありませんのでご安心ください。
実を言うと、私の家族もかなり以前(法改正前)に臓器移植を経験しています。
生きている親族が臓器の一部を提供する「生体移植」というものでしたが、それはそれは大変なことがありましたが、そのおかげで余命わずかと言われた家族の命が助かりました。
自分の臓器、家族の臓器を他人にあげる。
ということは、自分一人で簡単に決められることではないですよね。
それでも私たちには、臓器をあげる権利もあれば、臓器をあげない権利もあるんですよ。
もちろんもらう側も、もらう・もらわないの権利があります。
自分が死んでから誰かの役に立つのなら、全然いいよ!あげるよ!と思っている人も大勢いるでしょうし、色んな理由から絶対他人にはあげたくない、家族にもあげたくないという人も大勢いるかと思います。
実際のところ、どっちでもいいし自分が死んだあとのことは家族に任せるわ〜。
という人が一番多いような気がするんですが、、どうでしょうか?
人生最期の時というのは、誰にでもいずれ必ず平等にやってきます。
いざその時になって、その場で納得のいく決断をできるでしょうか。
あとで後悔しないように最善の決断を出せるように、臓器提供するにしろ提供しないにしろ、自分はどうしたいのか、家族はどうして欲しいと思っているのかを前もって話し合っておくことは本当に大事ですよ。
自分がどうしたいのかを決めないまま、もしもの時が訪れた場合、家族が代わりに決めることになります。
自分の家族は臓器提供したいんだろうか、したくないんだろうか、臓器提供したいって家族に言ったらどんな反応をするだろうか。
あなたのご家族、ご両親、旦那さん、奥さん、お子さんにもしもの時が訪れて、病院で「あなたのご家族の臓器を提供する機会がありますよ」と告げられた時に、どうするのかもう決めていますでしょうか?
そんなこと今から考えたくないという人も、知らない間に家族がこっそり意思表示をしているかもしれません。
家族には拒否する権利がありますが、突然知らされて後悔のない判断をできるでしょうか。
もしもの時に家族が悩んだり迷ったりしないように、家族のためにあらかじめ意思表示しておきましょうね。
現在の法律では、「自分はどうしても絶対に臓器提供したい!臓器提供すると決めてます!」と固く決心していたとしても、家族が拒否すれば本人の「提供したい意思」は尊重されません。
前もって、臓器を提供してもいいのか、したくないのかの意思を表示しておくことが大切なんですよね。
再放送のご案内
上記の内容は、
1月24日(水)24:00〜24:30 に再放送いたします。(木曜深夜0時〜)
番組からのお知らせ
2017年12月までは月2回の本放送プラス、それぞれ1回ずつ再放送を行っておりましたが、
2018年1月より、本放送が月1回となります。
それに伴い、再放送回数が1回から3回に増えました。
- 変更後
- 1週目(水)24時からオンエア(木曜深夜0時〜)
- 2週目(水)24時から再放送
- 3週目(水)24時から再放送
- 4週目(水)24時から再放送
- 5週目(水)お休み
放送日時の変更はありません。
毎月第1水曜日24時(木曜深夜0時)からオンエア
そして、2週目、3週目、4週目の水曜日は、1週目の再放送となります。
毎月第5週目の放送はお休みです。
次回オンエアのご案内
- 放送日は、
- 2月7日(水)24時から(木曜深夜0時〜)
- 2月14日(水)24時から(再放送)
- 2月21日(水)24時から(再放送)
- 2月28日(水)24時から(再放送)
です。
お楽しみに〜。