この記事は2018年6月に作成されたものです。
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本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』を実写映画化
- 原作は「ピアノの調律師」の世界を描いた小説『羊と鋼の森』(宮下奈都 著/文藝春秋 刊)
- 2016年 第13回本屋大賞受賞
- 第154回 直木賞ノミネート
- 文部科学省選定
「ラ」の音の不思議
ピアノ調律では「ラ」の音(440Hz)が「基準ピッチ」。
人種関係なく世界中の赤ちゃんの鳴き声も「ラ」の音です。
哺乳類全般がそうらしいですよ。
不思議ですね。
時報の「プップップッ、プーン」も、
「プップップッ」=440Hz(ラ音)
「プーン」=880Hz(1オクターブ上のラ音)
なのです。
調律は、基本的には音叉やチューナーの音に「ラ」を合わせてピアノ全体の音階を作っていきます。
魅力的な調律師の世界
ピアノをやっている人にとっては、ごく当たり前の「ピアノはそういう構造」という感覚だと思いますが、いざ文章(言葉)にすると物語がひとつ誕生しそうな素敵な響きですね。
ピアノ調律師は「ピアノ調律技能士」という国家資格ですが、一級は難関みたいですよ。
新米調律師の主人公 外村を演じるのは山﨑賢人さん。
イケメンゆえに恋愛少女漫画のイケメン役イメージが強いですが、やや困り顔?の表情をされている山﨑さんには、今回のように内気で不器用な青年役がハマリ役のように思います。
(山﨑賢人さん、ラジオではめっちゃ面白い人ですよ)
物語の序盤は冬の北海道から始まり、薄暗く吹雪いて主人公の心を表現しています。
高校生の時にある調律師と出会ってから自分も一人前の調律師を目指し、「才能」という壁にぶつかりながらも前向きにひたむきに頑張っていきます。
「奇跡の耳や、奇跡の指があれば」
そうです。
何かに真剣に取り組むと、必ずぶち当たる「壁」。
それこそが、誰もが欲してやまぬ「才能」というものですね。。
子供の頃に学校から帰り、「ラーーー、ラーーー、ラーーー」と、単調な音が聴こえてくると「あ、今日はいつもの調律師のオジサンが来てるんや~」と思ったものでした。
家のピアノは2代目で、WURLITZER(アメリカの老舗メーカー)のアップライトです。
ずっと来ていただいていた調律師さんが退職されてから、そこではWURLITZERを調律できる人がいないとかでお断りされたのでやってもらえる調律所を探した・・・という出来事がありました。
ピアノメーカーは世界中にありますし、新型からアンティークまで様々。調律の他、オーバーホールもありますから「何でも出来ます・やります」は通じない世界でしょう。
一度調整したハンマーは基本的に元には戻せないため、新米調律師の主人公(外村)が真っ青になり冷や汗をかくシーンは、ハラハラしつつもリアルな描写だと思いました。
ピアノ曲が中心のオリジナル・サウンドトラック
もちろん、サウンドトラックはピアノ曲が中心となっています。
物語中盤にはショパンの「小犬のワルツ」が何度も繰り返され、個人的に大好き曲ということもあり、一番印象深い場面です。
ここでは、軽やかなメロディとは対照的に、心を閉ざした青年が登場します。
コンクール受賞を目指す高校生のピアニスト姉妹の葛藤も見せ場です。
この姉妹は単なる脇役ではありません。
主人公 外村に影響を与える、かなり重要な位置にいます。
外村が調律を終えると、いつも競うように「弾いてみていいですか?!」と、嬉しそうに駆け寄ります。
調律の後は試し弾きするものですが、あんなに喜んでもらえたらやりがいを感じるだろうなぁ。。
エンディング・テーマ曲「The Dream of the Lambs」では、世界的アーティストである久石譲さん(作曲)と辻井伸行さん(ピアノ演奏)の初共演が実現。
辻井伸行さんは、出生時から眼球が成長しない「小眼球症」と呼ばれる原因不明の障害を負っていました。
全盲のピアニストです。
私は10年ほどしかピアノをやっていませんが・・・天才を超えた天才とはこの人のことかと。
色々な楽器を経験しましたが、ピアノが一番難しいという結論に達しています。。
久石 譲(作曲・編曲)
1950年生まれ、長野県出身。
国立音楽大学作曲科卒。現代音楽の作曲家として、ソロアルバム、コンサート、指揮など幅広い分野で活躍。映画『風の谷のナウシカ』(84/宮崎駿監督)以降、『おくりびと』(08/滝田洋二郎監督)、『悪人』(10/李相日監督)、『かぐや姫の物語』(13/高畑勲監督)、『家族はつらいよ』シリーズ(16・17/山田洋次監督)など、映画音楽やCM音楽など話題作の音楽を多数手掛ける。
辻井 伸行(ピアノ演奏)
1988年生まれ、東京都出身。
2009年6月に米国テキサス州フォートワースで行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初優勝して以来、国際的に活躍している。2度の日本ゴールドディスク大賞を受賞。作曲家としても注目され、映画『神様のカルテ』(11/深川栄洋監督)で第21回日本映画批評家大賞を受賞。
これだけでもシアターへ聴きに行く(観に行く)価値が十分にあるでしょう。
サウンドシステムの整った映画館でこのエンディング曲を聴くのも楽しみどころです。
久石譲さんらしい、あたたかく、優しく、切ない曲です。
子供の頃に観た、今でも一番好きなアニメ映画『風の谷のナウシカ』の壮大なエンディング曲「鳥の人」が衝撃的で…。
久石譲さんは、当時まだ無名だったそうなんですが、『風の谷のナウシカ』サウンドトラックを手がけたことで作曲家として一躍注目され、後の代表曲となりました。
原作ファン、山﨑賢人さんファン、クラシックファンの方々のほか、ピアノ調律師に興味を持った人や目指している人など、大人から子供まで、観る人により様々な角度から共感できる作品ですよ。
羊と鋼の森 オリジナル・サウンドトラック SPECIAL(2枚組)
劇中の曲は、6月6日リリースの『羊と鋼の森』オリジナル・サウンドトラックに収録されています。
DISC2は全曲、辻井伸行さんのピアノ演奏です。
この2枚組のCDは、DISC1には映画の中で主役の一部を務めるピアノ作品を、辻井伸行の演奏で収録、DISC2には久石譲×辻井伸行によるエンディング・テーマ「The Dream of the Lambs」はもちろん、今、ドラマや映画の世界で高い注目を集める世武裕子による劇伴音楽(サウンドトラック)を完全収録した超豪華なアルバムです。
収録曲
01 The Dream of the Lambs
02 『羊と鋼の森』 メインテーマ
03 ピアノスケッチ
04 たまご
05 モーツァルト:きらきら星(連弾)『羊と鋼の森』 サウンドトラックVersion
06 明るく静かに澄んで懐かしい
07 思い出
08 ショパン:小犬のワルツ 『羊と鋼の森』 サウンドトラックVersion
09 移りゆく季節
10 家族の肖像
11 外村の戸惑い
12 森のお葬式
13 いつも、そうやって
14 森の音がする
15 みたことのない世界
16 好きって気持ち
17 ピアノを弾くひと
18 メンデルスゾーン:結婚行進曲 『羊と鋼の森』 サウンドトラックVersion
19 シューベルト:楽に寄す 『羊と鋼の森』 サウンドトラックVersion
20 夢のように美しい
01 ラヴェル:水の戯れ
02 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
03 モーツァルト:きらきら星変奏曲
04 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》 Ⅰ. ALLEGRO ASSAI
05 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》 Ⅱ. ANDANTE CON MOTO
06 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》 Ⅲ. ALLEGRO MA NON TROPPO – PRESTO
07 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 第1楽章 Allegro maestoso
08 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 第2楽章 Scherzo. Molto Vivace
09 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 第3楽章 Largo
10 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 第4楽章 Finale: Presto, non tanto
DISC 1 トラック1:久石 譲(指揮) 東京交響楽団 ピアノ:辻井伸行
DISC 1 トラック2~4,6,7,9~17,20:作曲 世武裕子
DISC 1 トラック5,8,18,19:編曲 世武裕子
DISC 2 全トラック:辻井伸行(ピアノ)
ひたむきな姿に励まされ、そっと背中を押してくれる。
温かい余韻を約束する感動作―
『火花』『君の膵臓をたべたい』など数ある話題作を抑え、2016年第13回本屋大賞を受賞した小説『羊と鋼の森』。ピアノの調律師という世界を繊細な筆致でつづり、日本中の読者の心を震わせた本作が、待望の映画化。ピアノの音、森の景色や匂い、心を打つ言葉… 映画ならではの、五感を刺激する美しい映像を、豪華キャストとスタッフでお届けします。ピアノの一音に森の匂いを感じ、調律師の世界に魅せられていく新米調律師の主人公、外村直樹を演じるのは、常に話題作に出演し、絶大な人気を誇る俳優・山﨑賢人。ひたむきに仕事に向かう実直な青年役で役者としての新境地を開きます。そして、外村に感銘を与え、彼の人生を導いていく憧れの調律師、板鳥宗一郎役を、日本映画界を支える名優・三浦友和が演じます。外村を優しく、時に厳しく指導する先輩調律師・柳役に、鈴木亮平。ピアニストの高校生姉妹・和音(姉)と由仁(妹)役を、実の姉妹である上白石萌音、上白石萌歌が演じます。さらに、光石研、吉行和子、堀内敬子、仲里依紗、城田優、といった豪華俳優陣が脇を固めます。
映画『羊と鋼の森』予告動画
本屋大賞を受賞した宮下奈都による『羊と鋼の森』(文藝春秋刊)を実写映画化
監督:橋本光二郎×主演:山﨑賢人
2018年6月8日(金)全国ロードショー
Ⓒ 2018「羊と鋼の森」製作委員会