この記事は2018年5月に作成されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている場合があります。- 5月2日(水)24:00〜オンエアの内容と取材に基づいた記事です。
- 5月9日(水)24:00〜再放送
- 5月16日(水)24:00〜再放送
- 5月23日(水)24:00〜再放送
2018年5月のゲスト・マイノリティさんは、第18回 新人お笑い尼崎大賞 落語の部 優秀賞を受賞、今年3月には初の独演会を開催。視覚障害者でもある落語家 半丸亭寿近さんです。

目次
「半丸亭寿近」の読み方は?由来は?
「せみまるてい・じゅにあ」さんとお呼びします。
変換では絶対に出てこない、当て字。
師匠は芸歴30年の「風流亭半丸(ふうりゅうてい・せみまる)」さんなので、そこから「半丸」をいただきました。
「半丸」は「半人前、セミプロ」を意味するそうです。

めちゃくちゃプロ意識が高いことの裏返しですね。
「寿近」は「じゅ(コトブキの音読み」+「にあ(near=近い)」という造語です。
何故か英語が混じっていますね(笑)
そもそも「ジュニア」はどこから来たのかというと、元々のニックネームがジュニアだったそうです。
お兄さんがいるので子供の頃から「ジュニア」。
大人になってから、楽喜(ラッキー)の会というサークルに所属。
そこでの兄貴分がジュニアさんの本名と同じく「タカシ」さんだったので、「タカシ・ジュニア」から「ジュニア」に定着したそうです。
- 楽喜(ラッキー)の会とは?
「視覚障害者と晴眼者が楽しく喜び助け合い遊ぼう!」をコンセプトとした会で、落語に限らずバーベキューなどで交流を深めている。現在のメンバーは約80人。
「楽喜の会」の中に「楽喜(ラッキー)落語研究会」があり、寿近さんはそちらにも所属しています。メンバーは5人。
新人お笑い尼崎大賞とは?
全国から学生チャンピオンや社会人、新人芸人などが競う賞レースです。
1.年齢・性別・国籍は問いません。
2.プロ・アマ問わず新人であること。
※プロの方は概ねデビュー3年以内であること。(アマチュアの経験年数は問いません。)
※当「新人お笑い尼崎大賞」の大賞受賞者を除く。
アマチュアであれば、ほぼ誰でも挑戦することができますね!
人気お笑い芸人を数々生んできた尼崎。お笑いを目指す新人の登竜門として、「新人お笑い尼崎大賞」を毎年開催しています。
第18回新人お笑い尼崎大賞(尼崎市総合文化センター)
http://www.archaic.or.jp/event/owarai/
歴代受賞者(抜粋)
第1回(2001年) – 優秀賞:友近由紀子(友近さん)
第5回(2005年) – 優秀賞:チキチキジョニー 奨励賞:女と男
第15回(2014年) – 【落語の部】優秀賞:桂あおば/【漫才・コント等の部】大賞:ゆりやんレトリィバァ(Wikipedia)
今現在、大活躍している方も大勢いらっしゃいますね。
兵庫県尼崎市にゆかりがある「お笑い」の方々には、人間国宝の落語家桂米朝さんやダウンタウンさんの他、吉本新喜劇の井上竜夫サンなど♪
そして、尼崎市は兵庫県なのに市外局番が「06」なんですよね。大阪と同じ。
大阪府尼崎市と勘違いしている人も多いそうです。
大阪人にとっても、尼崎は身近なんですよ。
第18回新人お笑い尼崎大賞 落語の部 優秀賞受賞
寿近さんは予選・本選と勝ち上がり、実質、準優勝という大きな賞を受賞されました。
おめでとうございます!
古典落語『転失気』
予選・本選ともに同じ演目で挑むのですが、寿近さんが選んだネタは「転失気」。
「てんしき」と読みます。
iPhoneでは一発変換で出ましたが、転失気を読めて意味まで知っている人は、かなりのご年配か落語好きかのどちらかでしょう。。
コントのような面白いネタです。
体調のすぐれない寺の和尚が、往診に訪れた医師から「てんしき」があるかないかを尋ねられる。和尚は「てんしき」が何かわからず、知ったかぶりをしてその場をとりつくろい、あとになって小僧の珍念を呼んで、それとなく尋ねることでなんとか「てんしき」について知ろうとするが、珍念は「てんしき」を知らなかった。和尚は「ここで『てんしき』について教えてもよいが、それではお前のためにならない」とうそぶき、珍念を医師宅へ調合薬を取りに向かわせるついでに、近所に「てんしき」を借りてくるように命じる。ところが聞く人がみな知ったかぶりをして「棚の上から落ちて割れてしまった」「味噌汁の実にして食べてしまった」など、バラバラの説明をするため、「てんしき」が何であるのか珍念にはわからない。(Wikipedia)
転失気=屁=おなら
【落語の部】予選
予選の参加者は総勢55人。
人数が多いため、半数ずつ2日に分けて行われました。

結果は当日に会場で発表されるため、予選を終えると会場に待機します。
それが寿近さんは何と、「もうアカン、予選は落ちた」と思い込み、早々に帰宅していました(笑)
すると電話がかかってきて本選出場が決定!
【落語の部】本選
本選には6人が出場。
その中から寿近さんは優秀賞に輝きました。
また、「観客賞」なるものも受賞されたそうです。
これは一般観覧のお客さんからの投票で決まるようです。
持ち時間は予選は8分、本選は12分でした。
予選用にネタを削らないといけないのですが、「転失気」は元々長い演目ではないので削るのはそれほど大変ではないそうです。

「落語 THE MOVIE」私も大好きです!
先日はスペシャル版が放送されていましたが、また復活してくれないかな・・・。
落語・・・たったひとりの噺家が座ったまま物語を語り、多彩な登場人物や情景、笑いと人情の機微を伝える・・・観客は想像力をフルに働かせて楽しむ、すぐれた「脳内エンターテインメント」です。しかし、それゆえに、初心者にはハードルが高いこともあります。
この番組は、落語をあえて映像化。噺家の語りに合わせて再現役者の口が動く、いわゆる「リップシンク」に徹底的にこだわり、あたかも落語の登場人物たちが実際に話しているかのような臨場感を演出、見ている人をリアルな落語の世界へと導きます。
新しいエンターテインメント、「見る落語」の世界をお楽しみください。超入門!落語 THE MOVIE – NHK – NHKオンライン
http://www4.nhk.or.jp/rakumov/
実は寿近さん、予選の持ち時間8分のところ、4分と勘違いしていたんです。
10分のネタを無理やり6分削り、4分に縮めたそうで(笑)
初の独演会を開催
知人から「独演会をやってみないか?」と声がかかり、会場などを設定してくれたので、修行を兼ねて一度やってみようということで、2018年3月11日 兵庫県三田市立図書館で実現しました。

初の独演会では3席を披露。
- 転失気(てんしき)
- 手水廻(ちょうずまわし)
- 禁酒関所(きんしゅせきしょ)
古典落語『手水廻』
「手水(ちょうず)」を「長頭(ちょうず)」と勘違いする話。
手水廻しとは、上方古典落語の中でも、かなり有名とされる話であり、単純明快かつ滑稽な話である。落語の道を歩む者なら、これが出来て当然!得意としている噺家では六代目笑福亭松鶴、桂文珍、桂雀々などがいる。なお、上方落語のみの演目であり、現在もなお江戸落語には輸入されていない。おそらく噺の肝となる「手水を廻す」という方言が通用しないためであろう。(手水廻しとは (チョウズマワシとは) [単語記事] – ニコニコ大百科)
関東ではかけないネタなんですね。知らなかった。
私は大阪出身なので「手水」=「ちょうず」って読めますが、方言だったのか・・・。
学校で(古典とか?)習ったような気がするんですが。
とある田舎の宿に、大阪のお客さんが泊まり、朝を迎える。そこで、朝の挨拶と部屋に来たスタッフに「手水をこちらに廻して欲しい」と伝える。しかしスタッフも旅館の旦那も「ちょうずをまわす」という意味が分からず、近所の寺へ聞きに行く。寺へ行くも、「分からないものは、字で当て嵌めて考えること」と言われ、長頭のことだと勘違いしてしまう。偶然にも村に、頭が長いことで有名な男がいたため、その男をお客さんの前まで連れて行き、頭を回すのを見せる。結果、お客さんは怒って帰ってしまった為、ちょうずが何かを知るため、旦那とスタッフは大阪の宿へ泊まりに行く。(手水廻しとは (チョウズマワシとは) [単語記事] – ニコニコ大百科)
古典落語『禁酒関所』
『禁酒関所』は上方落語の演目ですが、江戸落語では「禁酒番屋(きんしゅばんや)」と呼びます。
上方落語では珍しい、お侍さんが出てくる話です。
土地柄、商人の話が多いんですよね。
きっかけは、とある武家の家中の事件。『月見の宴』というものの最中、泥酔した二人のお侍がチャンバラを始め、一人がもう片方をバッサリ。斬った方はそのまま帰って酔いつぶれ寝込んでしまったが、翌朝目覚めて我に返るや、「主君に申し訳ない」とこちらも切腹をしてしまった。その話を聞いた主君、「酒が災いしての無益な斬り合い、何とも嘆かわしい事じゃ。今後、わが藩では藩士が酒を飲む事を禁ずる。余も飲まぬからみなも飲むな」。殿様自ら『余も飲まぬ』とのお達しがあれば、藩士一同否応なく禁酒するしかない。こうして家中一党禁酒、となったが……何しろものが酒である。そう簡単にやめられるわけがない。なかなか禁令が行き届かず、隠れてチビリチビリやる者が続出。また騒動になることを恐れた重役が会議をした結果、屋敷の門に番屋を設け、出入りの商人の持ち込む物まで厳しく取り締まる事になった。人呼んで「禁酒番屋」。(Wikipedia)
お酒が禁酒になってしまったが、侍が飲みたいからと酒屋に持ってくるよう命令します。
関所を突破するために酒屋があれこれ策を練りますが、失敗また失敗。
お酒をカステラだと偽っても酒だとバレてしまい、番人に全部飲まれてしまいます。
都合二升もただでのまれ、酒屋の一同は怒り心頭に発した。
店の若い衆、「この際突破は諦めて、仕返ししてやりましょうや」
(中略)
「向こう横丁の植木屋でございます、近藤様が植木の肥やしにする……との事で、『小便』のご注文で……」
内心『また呑める!』とほくそ笑む番人、「馬鹿ァ!! 出せ!!」と徳利を供出させる。
「おお、これはまた、ヒック……ぬる燗がついておるな……まったくけしからん……小便などと偽って……」
徳利の中身を湯飲みに注ぐ。
「……だいぶ黄色い……古酒だな。それも、またよし……まったく、けしからんな……」
おもむろに一口……ぶーっと吹き出す。
「ウグッ!? これは小便ではないか! 何とけしからん奴だ!! かような物を持参しおって!」
「ですから、初めに小便と申し上げました」
「うーん……あの、ここな……正直者めが」(Wikipedia)
冒頭でいきなり人が2人死んでしまう話から、オチが・・・。
想像するだけで引いてしまいますが、寄席ではもちろん笑える話です。
皆さん笑っています(笑)
一応下ネタの部類ですが、寿近さんいわく「とても上品な話」だそうです(笑)
初舞台はいつ頃?演目は?
寿近さんの初舞台は、2015年11月22日。
視覚障害者の団体「楽喜(ラッキー)の会」による始めての落語会「第1回 楽喜落語会」が西宮市市民交流センターで開催されました。
初めての演目は「禁酒関所」。
お好きですね(笑)
なぜ「禁酒関所」にこだわったのか、理由がありました。
落語家になろうと思ったのはいつ頃?理由やきっかけは?
もともと落語の趣味はなく、やったこともなかった寿近さん。
当時、寿近さんには末期ガンで入院中の友人がいました。
その友人が落語好きだったので、「自分が落語をやったら笑ってくれるかな?」と、笑いで友人を励ますために初めて落語に挑戦しました。
その友人にすすめられた演目が「禁酒関所」です。

パッと見はクールな印象なので下ネタ好き(?)なのは意外でしたが、こんな経緯があったんですね。
寿近さんには視覚障害がありますので、実際に落語をやってみると目線のコントロールが大変難しかったとのこと。
落語は「カミシモ」の目線や顔の動きが必須ですからね・・・。
所作については想像でやってみて、師匠に手直しをしていただくそうです。
師匠との初稽古から上達まで
寿近さんの師匠である風流亭半丸さんは晴眼者です。
普段はとっても優しいお方だそうです。
ところが稽古では・・・。

最後までいけるかが勝負。静寂の中での20分が3日に感じました。
もうひとりのお弟子さんと一緒に稽古をつけていただいたのですが、その方はあまりの地獄に稽古途中で断念してしまったそうです。
確かに、シーーーンとしてる中でじーーーっと見つめられ、誰も笑ってくれない・・・なんて考えただけで背筋が凍りますね。
このように稽古で鍛えられ、寿近さん自身にも変化が訪れました。
もともと人前で自己紹介をすることが嫌いだったそうですが、今は少しだけ嫌いに変わったそうです(笑)

落語が上達するコツは?
寿近さんは毎日、1日1回くらいは練習しているそうですよ。
声に出しての練習は一ヶ月のうち20日間くらい。
やはり毎日継続することが大事ですね!



もともと緊張しないタイプですが、新人お笑い尼崎大賞の予選ではボロカスにダメ出しをされるので緊張しました。


お気に入りの落語演目は?
上方落語『佐々木裁き』
三代目笑福亭松鶴さん作で、お奉行さんが登場するトンチ噺。
佐々木顕発がモデルとなっているそうですが、噺の中では大坂西町奉行との設定です。
佐々木 顕発(ささき あきのぶ)は、江戸時代末期の旗本。一介の旗本家来から御家人、旗本となり、勘定奉行・町奉行・外国奉行等へと大出世した人物として知られる。(Wikipedia)
江戸落語では「佐々木政談」?
『佐々木裁き』あらすじ
西町奉行 佐々木信濃守がお忍びで町内を散歩中、子供達がお奉行ごっこをしているのを発見。
奉行役の子供がトンチを働かせてうまく裁つけていたので、子供の身元を調べ、奉行所へ親・町役人共々呼び出す。
佐々木「絵に描いた仙人が何を言うておるか尋ねてまいれ」
子供「佐々木信濃守はだいぶアホやなぁと言うてました」
佐々木「なぜアホと申した申したのか尋ねてまいれ(怒)」
子供「絵に描いたもんがモノ言うわけ無いのに、それを聞いてこいやなんて佐々木信濃守てだいぶアホやなぁと言うてました」
親「どうぞ命ばかりはお助けを…」
感心した佐々木信濃守は子供が15歳になると引き取り、後にこの子供は天満与力として出世した。
上方落語『たけのこ』
寿近さんの持ちネタのひとつ。
こちらも上方では珍しく、お武家さま同士の噺です。
トイレ=高野、厠(かわや)と知っていれば、より楽しめます。
『たけのこ』あらすじ
主人「今日の昼飯は何じゃ?」
家来「たけのこでございます」
主人「八百屋で買ったのか?」
家来「隣家のたけのこが当方の庭へ生え出たので掘り取りました」
主人「隣家のものを無断にて掘り取るとは。たわけめ。」
主人「とは言うものの、ワシもそういう事は好きじゃ」
主人「では、隣家にこう挨拶して参れ。不届き千万にも、貴殿の庭のたけのこが土足にて当方を荒らしまわっておった。戦国の世であれば打首獄門、手討ちに致します故ちょっとお断りを致します・・・」
主人「わしは鰹節で出汁をとって待っておる」
家来「(隣家に伝える)」
隣家「左様か、ただし身どもの家来ゆえ、遺骸だけは当方に引き渡されたい」
家来「主が鰹の出汁を炊いて待ってまんねん」
隣家「何なら鰹の出汁もろともにても苦しゅうない」
家来「さいなら」
主人「敵もなかなかやるのう。もう一度行ってこい。たけのこの皮だけもって、こう伝えるのじゃ。不届き千万ゆえ既に手討ちにいたしたが、遺骸は当方にて丁重に墓(腹)の中に葬ります。骨は明日には、高野(厠)に納まるであろう。これはたけのこの形見じゃ、とな」
隣家「おお、鰹の出汁は?」
家来「これは筍の形見でございます」(バラバラ、バラバラ)
隣家「いやはや、手討ちになったか。ああ、可哀(かわい)や、かわいや、皮や(厠)」
上方落語『動物園』
こちらも寿近さんの持ちネタのひとつです。
元々は外国で知られていた小話を落語に仕立てたもので、子供にも大人気のネタです。
『動物園』あらすじ
朝が弱く、力仕事が苦手で、口下手なため、仕事勤めが続かない男。ある日、ぴったりの仕事を世話してもらうことになった。午前10時出勤でよく、何も持たないでよく、しゃべる必要もなく、昼食・昼寝付き1日1万円だという。好条件に飛びついて紹介状を受け取った男が着いた現場は、なんと移動動物園。
移動動物園の園長は男に、虎の皮を渡した。目玉展示の動物である虎が死んでしまったため、残った毛皮をかぶって虎になりすませ、という。早速毛皮をかぶった男は虎の檻に入れられ、園長に虎の歩き方を教わった。園長は、前足の方向と逆に頭を向けると虎らしく見えるといい、男の前でやってみせる。
開園時間になり、多くの観客が虎の檻にやって来た。空腹だった男は、子供客の持っているパンほしさに思わず「パンくれ」とつぶやいてしまう。それを聞いた子供にパンを投げ込んでもらうが、四つんばいの姿勢なのでうまく食べることができない。仕方なく手でつかむが、とうとう子供に不審がられた。男はうなり声をあげて子供を泣かせ、なんとかごまかした。
空腹が極まり、タバコも吸えず、難渋する男。そんな中、動物園のアナウンスが「虎とライオンの猛獣ショー」の開催を告げた。男は事前に説明を受けなかったので、慌てふためいた。虎の檻の中にライオンが放たれて、男はパニックに陥った。ライオンはうなり声を上げながら男の耳元に近づいて、「心配するな、わしも1万円で雇われたんや」。(Wikipedia)
日本人でなくとも理解しやすい題材のため、2代目桂枝雀によって英語に、笑福亭銀瓶によって韓国語に、3代目桂歌之助によってイタリア語にそれぞれ訳されて口演されている。(Wikipedia)

中国での九死に一生の体験も落語に
寿近さんは針・マッサージの勉強のため中国へ2年間留学していましたので、中国語を話せるんですね。(平日はマッサージ師をされています)
仲間と中国の繁華街で飲み歩いていたところ、怪しげな呼び込みが・・・。
ちょっとエッチなことも期待できそうな誘い文句に釣られ(笑)ノコノコついていったら、そこはいわゆる「ぼったくりバー」。
有り金を全部出せと脅されましたが、もちろん抵抗しました。
すると奥の部屋からボスらしき男が現れて、突き付けられたのはピストル・・・!
慌てて有り金を渡しましたが、パスポートだけは何とか死守。
無一文になり、帰るお金がないと困っていたら中国人のボスが、
「しゃーないから100元だけ恵んでやるわ」
「謝謝~~!!」
そして、彼らは夜の繁華街をトボトボと何時間もかけて歩いて帰って行った・・・。
その100元は、ぼったくられた寿近さんたちのお金だったのですが(笑)
いや、笑いごとではなく本当に無事で良かったですが、甘い話には気を付けましょう。
他にもインドやネパールでバックパッカーをやっていたりと豊富な体験談をお持ちです。

体験談から創作した落語を是非聴いてみたいです!
一番好きな落語家さんは?
寿近さんは6代目 笑福亭松喬さんが大好きなんだそうです。
6代目 笑福亭松鶴さんのお弟子さんです。
「佐々木裁き」や「禁酒関所」がお好きなのも松喬さんの影響があるかもしれませんね。
6代目 笑福亭松喬(しょうふくてい しょきょう)
2007年12月 「百年目」で文化庁芸術祭大衆芸能部門「芸術祭大賞」を受賞。(中略)2013年7月30日 肝臓がんのために死去。(Wikipedia)
6代目 笑福亭松鶴(しょうふくてい しょかく)
笑福亭鶴瓶さんの師匠です。
Wiki情報の真偽はともかく、「ほんまに?!w」と突っ込みたくなる豪快なエピソードが満載で面白いです(笑)
入門当時、消滅寸前だった上方落語の復興を目指し、3代目桂米朝らと奔走。埋もれていた演目を掘り起こし、また多くの弟子を育て上げ、上方落語の復興を果たす。米朝、3代目桂小文枝(後の5代目桂文枝)、3代目桂春団治とで「上方落語界の四天王」と讃えられた。
1981年 11月3日、紫綬褒章受章。上方落語家としては初。
6代目の旧住居は現在は寄席小屋「無学」となっており、弟子の笑福亭鶴瓶が月1回「帝塚山 無学の会」というイベントを開催している。
元は役者志望だったが、少年時代に片足に重傷を負い引きずるようになったため、断念せざるを得なかった。この経験が後年、視覚にハンディキャップを持つ笑福亭伯鶴を弟子に取ることに繋がった。
紫綬褒章授与の際に市民税を30年間滞納していたことが発覚し、急遽支払った。
一時期「笑福亭」という名の割烹料理屋を営んでいた事がある。芸人が毎日出入りし食事代を踏み倒すのですぐに店を潰した。(Wikipedia)
視覚障害というハンディキャップを武器に
寿近さんは、普段は白杖歩行をされています。
全盲というわけではなく一応、視界の端あたりは見える状態です。
視界の正面、真ん中は見えません。色は視界の端から何となく分かる程度。
いわゆる「弱視」で、視力は0.02。
番組ステッカーを差し上げたところ、目の中に入るくらい近づけて視界の端から一生懸命に見てくださっていました。


主人公が全盲の創作落語など考え中だそうです。面白そう!
そして次回、来年度の第19回 新人お笑い尼崎大賞では、優勝して賞金を勝ち取りたいと意気込んでいらっしゃいましたよ。
私も寿近さんの優勝を楽しみにしています。
あとがき
好きなものはたくさんありますが、その中の一つが落語なんです。
なぜか落語は「マニアックな趣味」と言われることが多いのですが、落語は日本が世界に誇る伝統芸能の一つなんですよ。
しかも敷居がものすごく低くて、古典落語は江戸時代以降、私たち庶民に親しまれてきたものなんです。
ただただ笑えるコントのような噺だけでなく、ほっこりするもの、泣けるもの、ゾッとするもの等いろいろな噺があるのですが、どこか笑ってしまう独特の世界観があります。
こういった噺を聞かせる話芸は、ものすごく高い技術と芸術的な表現力が必要なんだそうです。
落語家さんの中には重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝の方もいらっしゃいます。
ところが伝統芸能だからといって、何もしなくても永遠に存続するわけではないと思うんですね。
ちょっと個人的な話になりますが、私が学生の時にお付き合いしていた人の祖父が某伝統文化の人間国宝の方でした。
その元彼の父親が後を継いでいて、時々テレビのドキュメンタリー番組に出演されていました。
元彼さんは大学を卒業しても、しばらくは就職して社会人としての経験を積んでから自分もいずれ家業を継ぐと言っていました。
で、その10年後くらい?に同窓会で会った時に聞いたんですが、後を継いだものの、その伝統文化自体の仕事が激減していて、それ一本ではとても家族を養ってはいけないそうなんですね。
時期によっては伝統的な行事とか繁忙期もあるんですが、普段は副業+夫婦共働きだと。
たまたま自分の家で代々続いていたものだけど、自分の代で絶やすわけにはいかないので何とか存続させないといけません。
国内では伝統芸能・文化へ弟子入りする人が激減している反面、外国人の方が弟子入りすることが増えてきましたね。
先日、外国人の新人落語家さんの密着取材を拝見しました。
文化もしきたりも異なる中、さらに日本語で落語を覚えて高座でかける・・・凄すぎる。
私は漫才も大好きなんですが、漫才はタレントさんとかアイドル的な要素も入ってきていて中高生にも女子にも大人気じゃないですか。
中には純粋に漫才が面白くてファンになっている中高生もいると思うんです。
漫才を面白いと思う人は落語のことも面白いと思ってもらえる・・・はず。
このまま落語ファンの平均年齢が上がっていくと、50年後、100年後はどうなっていくのかなーと考えてしまいました。
もともとは落語を本で読むのが好きなのですが、何ならめちゃくちゃ頑張って一席覚えたいなーなんて思っていますので落語番組や動画、寄席も時間があればチェックしています。
私のお気に入りの古典落語本は麻生芳伸さんの「落語百選」シリーズ。
「出来心」「金明竹」「素人鰻」「お化け長屋」など、大笑いあり、しみじみありの名作二五篇。読者が演者となりきれる〈活字寄席〉。
落語家さんはネタを何本も暗記する以外にも、いい声にマクラの話術、活舌、演技力、所作など求められるものが本当に多いんですよね。
半丸亭寿近さんは視覚障害をお持ちですが、風貌も話し方もいわゆる「落語家」さんで、すごい!どうやってここまで覚えたんやろ?!と驚きました。
YouTubeに寿近さんの高座の動画がありますので一部をご紹介しますね。
素人落語『佐々木裁き』半丸亭寿近
2016年の動画です。マクラが面白い(笑)
再放送のご案内
上記の内容は、
5月23日(水)24:00〜24:30 に再放送いたします。(木曜深夜0時〜)
次回オンエアのご案内
2018年6月の放送内容は、
ヘルプマークや障害等に関連る様々なマークについて、使用者の体験談・お便りの紹介とあわせてお話いたします。
- 放送日は、
- 6月6日(水)24時から(木曜深夜0時〜)
- 6月13日(水)24時から(再放送)
- 6月20日(水)24時から(再放送)
- 6月27日(水)24時から(再放送)
です。